2つの専門分野を持ちその相乗効果で大きな成果を上げる「パイ型人材」が今、注目を集めています。今回はAI時代を生き抜くために知っておきたい「パイ型人材」について解説します。パイ型人材とはパイ型人材は「ダブルメジャー」とも呼ばれ、2つの専門分野を持ち、その専門分野同士を繋ぎ合わせることで成果を上げる人材を指します。2つの専門分野をそれぞれ独立して活用するのではなく、統合することによって大きな成果を上げるのがパイ型人材の特徴です。例えば、マーケターとしてキャリアを重ねてきた人が、「データサイエンス」を新たに身につけることで、データを活用した効果の高いマーケティング施策を考案することができるようになる、などパイ型人材はこれまで無かった新しい価値を生み出していく人材です。パイ型人材の専門分野は基本的に2つですが、キャリアを重ねていく中で第3、第4の専門分野を培い、さらに大きくな成果を上げることができるとも言われています。スキルにスキルを掛け算していくことで、できることの幅を広げ、希少な人材として活躍することが可能です。どうしてAI時代にパイ型人材なのかどうしてこのパイ型人材がAI時代を生き抜くために必要なのか、その理由はいくつかありますが、ここでは主な3つの理由について解説します。AIによってスキル獲得のハードルが下がっている例えばデータサイエンスのスキルを新たに身につけるためには、これまでは統計学や機械学習の知識に加えて、Pythonなどのプログラミングのスキルが必要でした。しかし、今はプログラミングの一部がAIで代替できる時代になってきています。もちろんAIだけでコードを書くことは難しいですが、AIの活用によって熟練のプログラマーほどの知識や経験がなくても、比較的短期間で使えるコードを書くようになることは可能になっています。こうした例はプログラミングに限らず、英語やデザインなど様々なスキルにおいても同じことが言えます。AIを人間の補助として上手に活用することで、これまでよりも短期間でスキルの獲得が可能=スキルの獲得ハードルが下がっていると言えます。専門分野が一つだと代替されてしまうリスクがある先ほどのプログラミングの例のように、AIが仕事の一部を肩代わりしてくれる時代に徐々に突入しています。これはプログラミングに限った話ではなく、翻訳や通訳、記事のライター、イラストレーターなどの仕事は、クオリティをそこまで求めなければAIで代替が可能なレベルになっています。もちろんクオリティを求められる場面ではAIで代替することは難しく、今後もそうした状況がすぐに変わるとは考えられていません。しかしそうではない場面ではAIで代替できてしまうため、実力と経験を兼ね備えた一部のプロのみしか生き残ることができない厳しい環境になっていく可能性があります。また、今後AIによって代替可能な仕事には弁護士なども含まれており、一生安泰だと言える仕事の数は少なくなっていくかもしれません。AIは既存の枠組みから出られないAIが活躍する領域は日々拡大していますが、これまでにない新しいものを生み出すことにおいては、現時点では人間のほうが優れています。AIの基本的な原理は過去のデータからパターンを学習しアウトプットを作り出すものであり、学習データにない新しい枠組みを生み出すことは現時点では得意ではないためです。つまりAIはまだ既存の枠組みから出られません。例えば、ピカソなどに代表される「キュビスム」というアートの様式を、AIが学習して新しい「キュビスム」的な絵を生み出すことはできても、「キュビスム」のような新しいアートの様式自体をAIが生み出すことはできません。正確に言うと既存の複数の様式を組み合わせて全く新しい形の絵を生成すること自体は可能です。しかし、そこに様式を見出し、意味づけし、新しい枠組みを作り出すことは人間にしかできません。そういった意味で、専門分野をかけ合わせてこれまでにない価値を生み出していくパイ型人材が、AI時代を生き抜くことができる人材として注目を集めていることにも頷けます。当然AIが発展していけば人間と同じように既存の枠組みから新しい価値ある枠組みを生み出すことができるようになる可能性は十分にありますが、そうなるまでにはもう少し時間が必要なため、現時点ではパイ型人材がAI時代を生き抜くための最適な選択肢の一つであると言えるでしょう。パイ型人材になるためにはパイ型人材は「専門分野を結合」して成果を上げる人材であり、独立させたままそれぞれで仕事をしている状態ではパイ型人材と呼ぶには不十分です。そのためパイ型人材を目指す場合は、どう結合させるのか、結合したらどういった価値が生まれるのか、を意識して磨いていく必要があります。しかし、結合を意識するとは具体的にはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、結合を意識するために有効な2つのアプローチを取り上げます。抽象化の能力を磨く一見全く違う2つの分野を結合させるためには、それぞれの分野を抽象化した上で共通点を探し出すことが有効です。例えば「UXデザイン」と「文化人類学」、一見全く異なる2つの専門分野ですが、実は抽象化すると共通点があり、大学で文化人類学を専門的に学んだ人材がその知見を活かしながら「UXデザイナー」として活躍するなどの事例があります。「UXデザイン」は大まかに言うと、サービスを提供するユーザーのことを深く理解し、そのユーザーにとって最適な体験を提供できるようにサービスを設計すること、を目的とする専門分野です。一方で文化人類学はある社会に属する人々をつぶさに観察し、深く理解することで「文化」や「人類」についての洞察を得る学問領域です。それぞれの目的は異なりますが、抽象化すると「他者のことを深く理解する営み」であり、その点において両者を結合することが可能です。このように上手に抽象化できると、一見関係のなさそうな2つの領域を結合して、これまでにない新しい価値を生み出すことが可能になります。自分自身の今の専門領域がビジネスに結びつかない、ニッチすぎるなどの悩みを持っている方こそ、ぜひ抽象化にチャレンジしてみてください。自分たちがやっていることはつまり何なのか、を問うことでこれまでにない結合が生まれ新しい価値に繋がっていきます。「抽象化ってなんだか難しそう」「苦手なんだよな。。。」という方は、ぜひこの本を読んでみてください。%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22padding-bottom%3A%2052.5%25%3B%20padding-top%3A%20120px%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2F%25E3%2580%258C%25E5%2585%25B7%25E4%25BD%2593%25E2%2587%2584%25E6%258A%25BD%25E8%25B1%25A1%25E3%2580%258D%25E3%2583%2588%25E3%2583%25AC%25E3%2583%25BC%25E3%2583%258B%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B0-%25E6%2580%259D%25E8%2580%2583%25E5%258A%259B%25E3%2581%258C%25E9%25A3%259B%25E8%25BA%258D%25E7%259A%2584%25E3%2581%25AB%25E3%2582%25A2%25E3%2583%2583%25E3%2583%2597%25E3%2581%2599%25E3%2582%258B29%25E5%2595%258F-PHP%25E3%2583%2593%25E3%2582%25B8%25E3%2583%258D%25E3%2582%25B9%25E6%2596%25B0%25E6%259B%25B8-%25E7%25B4%25B0%25E8%25B0%25B7-%25E5%258A%259F%2Fdp%2F4569845991%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2FVOGfUie%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3E結合しやすそうな専門分野をあらかじめ選択して磨く自分が今持っている専門分野と結合しやすそうな分野を選択することも、パイ型人材を目指す上では有効です。例えば「マーケティング」と「データサイエンス」。マーケティングでは大量のデータを扱うことが多く、データの専門性を高める「データサイエンス」とは相性が良い分野です。このアプローチを取る場合は、まず自分の今の専門分野の見極めが必要になります。見極めるにあたって重要なことは、自分を卑下せず何ができるのかだけを客観的に把握することです。「自分は大した仕事をしてないから」と卑下してしまいがちですが、そうではなく事実として何をやっていたのかだけをただ見つめてください。そうすると自然と自分の専門性を客観的に把握することができます。2~3年程度のキャリアを積んでいれば何かしらの専門分野があるはずです。客観的に把握することができれば相性の良さそうなスキルを見つけることは比較的容易です。調べる、同僚や上司などに聞いてみる、少し自分で学んでみるなど、自分の手を動かして試行錯誤をすることで見つけることができるはずです。ただ中々自分だけでは難しい、うまく行かない場合はぜひEmpronyにご相談ください。終わりに今回は「パイ型人材」についてご紹介しました。時代の変化が激しい今、同じ仕事が同じ形であり続ける可能性は低くなっています。だからこそ複数の専門分野を持ち、新しい枠組みで価値を生み出し続ける「パイ型人材」は今後ますます求められるようになるでしょう。今回の記事がこの「パイ型人材」としてのキャリア形成を考えていただけるきっかけになれば幸いです。